職場でクリップと呼ばれる、仕事が全然できないオッサンが居るんですが、変な格好を毎日してたんですよ。
サスペンダーをつけてるんですが、なんか不格好に斜めになってて、しかも端っこが届いてなくて十個くらいクリップ連結させて、ベルトにとめているという不可思議な格好です。
自分の文章力では表現しきれないので、とりあえずイラストにしてみました。
こんな姿を毎朝朝礼の時に全社員にむけて晒してるので、みんな後ろから指さして「何あれ?」と不思議そうにしてました。
あまりにも気になって仕方がないので、現場の新人の子に「このままじゃ気になりすぎて俺の進捗に悪影響を与えてしまうから、なんでクリップ(品名)をしてるのかクリップ(人名)に質問しといて」と無茶振りしてみました。
他社の新人君にこんな事言ってもいいのかな、とか思いはしたものの直属の上司の方も「社会人として報連相は大事だから、この機会にしっかり身につけてください」と真顔で言ってくれたので、新人君は本当に聞き出してくれました。
果てしてクリップをつけるその理由とは……?
「本人いわく、ファッション、だそうです」
「え」
「ファッション、です」
「……どのあたりが?」
「なんか、刑事が拳銃のホルダーとかを着崩しているイメージだそうです」
「着崩すというか色々崩しまくってるような……」
「あと、前の現場でもクリップしてたらしくて、別の人にも同じ質問されてたそうです」
もしかしてそうやらないと他人からコミュニケーション取ってもらえないから、わざとそうしてるんだろうかと思ったものの、そこまで考えるような知性は持ち合わせてないというか、そんなこと考えてクリップつけても人間としてどうなんだ、と思ったのでこれ以上深く考えることはやめました。狂人にしか狂人の理屈は分かりかねる。