キセルの概念

多重処理という難しめの処理があって、関係者を集めて説明会をすることになりました。社畜はたまたまその処理には関わってなかったので、説明会に参加せずに作業をしてました。

 

そして暫くして詐称ボーイらが戻ってきたんですが、キョロキョロ辺りを見渡してから、社畜のところに詐称ボーイがやってきました。

 

社畜さん、多重処理について質問していいですか?」

 

「いや、知らないんで。係長に質問した方が確実ですよ(というか、今説明を受けてきたんじゃないの?)」

 

「いや、係長さんは暫く戻ってこないので、社畜さんでいいので教えて下さい」

 

「(でいいので?)そう言われても、そんな詳しくないで。というか、係長が戻ってこないとなぜ分かるんですか?」

 

「係長さんは、今キセルでタバコを吸ってるはずだから、戻ってこないですよ」

 

「(キ、セ、ル?!)……キセル?」

 

社畜さん、キセルも知らないんですかぁ?」

 

「いや、キセルという概念は知ってますけど、なんで係長がキセルを使ってるって思うんですか?」

 

そのあと、詐称ボーイは独自性のある自己矛盾をはらんだ意味不明な説明を繰り広げたのですが、支離滅裂すぎて今となっては記憶に残ってません。多分詐称ボーイ自身も何言ってるのか分かってなかったんではないでしょうか。

 

とりあえず係長がキセルでタバコ吸ってると思い込んでるらしい、ということだけは伝わりました。キセルだとなんで戻ってこないのかという理論は未だに分かりませんが。

 

そして係長が戻ってきたら「あ、もういいですから」と社畜に捨てセリフをはいて、係長の方に向かっていって、何を喋ったのかは遠くで分かりませんでしたが、人のよい係長が苦笑いしてるのを見て、参加してた同僚に状況を聞いてみました。

 

予想はしてましたけど、説明会で質問がないかと言われた時、同僚が詐称ボーイを心配して「今質問しなくていいの?」と言ったのに「いえ、あとで聞くんで、今はいいです」と答えたらしいです。そして説明会に居なかった俺に質問しにきて、俺を挑発してキセル講義をして去っていった、と。

 

結局、詐称ボーイは最後の最後まで多重処理を理解してなくて、設計書を引き継ぐ俺に初見で10個くらい製造不可能な点を指摘されても「そういうのは多重処理が得意な人が直してください」といって、自分では何もせずにいたのでした。いや、俺、多重処理得意じゃないんだけど……